ini-T MUSIC SKY [CGのBLOG] 2016年06月


3Dプリンターコンテスト
Shade 3D



今年一月から開催されたShade3D社主催の「第一回 3Dプリンターでフィギュア化イラスト・3Dモデルコンテスト」というものがあり、自分も参加させてもらいました。

これは、まず2D部門で3Dプリンターで立体化してもらいたいオリジナルイラストを募り、その2Dのイラストの中から3Dモデラーが好きなイラストを選んでそのイラストそっくりに3DモデリングをしてShade 3Dで3Dプリンター出力できるデータを作成するというコンテストでした。

最後に2D部門、3D部門それぞれで人気投票をして最優秀賞が各一名づつ選ばれ、豪華賞品と3Dプリントされたオリジナルフィギュアを貰えるというものでした。

私は3D部門に参加しましたが、残念ながら落選でした。しかしながら、コンテスト終了後にShade3D社の担当の方から私が選んだ絵師さんのイラストが2D部門で最優秀賞になったということで、私が作成したデータを使って3Dプリンター出力したいと連絡を受けました。

こちらもとしても、自分の作ったデータを使って貰えるのならと3Dプリント出力予定日までに気になっていた点など抜本的に修正させてもらうことにしました。ゴールデンウィークは予定返上でひたすらこのフィギュアの修正作業で明け暮れましたね。

そして、その3Dデータがついに3Dプリンター出力されShade3D公式サイトのコンテストの結果発表のページで公開されています。そのページがこちらです。

「第一回 3Dプリンターでフィギュア化イラスト・3Dモデルコンテスト」
結果発表


自分がコンテストに応募した3D作品はこちらに掲載されてます。「妖狐」という作品です。

「第一回 3Dプリンターでフィギュア化イラスト・3Dモデルコンテスト」
3D部門


ただ残念なのは、ここでの画像はとても小さく自分なりにすごく細かく工夫してモデリングをしていたことがおそらく伝わらなかっただろうなということですね。もうコンテストも終了したので、自分を労う意味でも、どういうことをしていたのか解説させていただこうと思います。

絵師の橘さんという方が描いた「妖狐」という作品を見てイラストの絵柄が好みだったのと4面図がしっかり描かれていたのでこのキャラクターを選らばせてもらいました。

元絵はこちらです。

「第一回 3Dプリンターでフィギュア化イラスト・3Dモデルコンテスト」
2D部門



それで、こちらが大幅な修正作業を経て完成した色付きで一体化してある最終データです。



カラー出力にも対応できるように色付けはテクスチャーに変更しました。これをSTL化したものが3Dプリントされました。

台座ですが、2本の足で支えるには持っているものの重量がありそうで強度的に尾っぽの下に何か支える物が必要かと思っていました。ただの支柱では絵的に寂しいので石を置いてみました。地面もツルツルでは味気ないと思い土っぽく凹凸を付けてみました。

モデリングですが、まず4面図を参考にTポーズで2日、ボーンを入れてスキンの設定をしてポーズを取らせては元に戻したりしながら髪や着物のバランスを整えで1日、ボーンを抜いてひたすら調整で1日と通常の3Dデータ的には4日ぐらいで完成しました。

今回は可動式のフィギュアではなく、始めからポーズが決められた3Dプリンター出力用フィギュアとのことで色々それに適した方法を考えて実践してみました。

強度を上げるために隠れているところはなるべく隙間がないようにくっ付けてあります。髪や提灯は着物に触れさせています。

顔のパーツや着物の模様などはテクスチャーで表現すると単色出力では何も無くなってしまいます。ですので、それらはすべて凹凸で表現してみようかなと思いました。






顔やお面のテクスチャーっぽいところは全部立体的にしてあります。色を抜いてみれば分かりやすいでしょうか。立体的なところに色を付けて絵のように見せてます。




全く見え無いところですが、お面の欠けているところもちゃんと作ってありますよ。




着物の模様も立体的に作ってあります。五枚一組の花柄を一つ一つ手作業で着物に配置してあります。かなり途方もない作業となってしまいました(汗)。しかし、やはり自分はこういう細かい作業が根本的に好きなんでしょうね。f(^^;)

ただ、STLファイルを作成するのが非常に難航しました。STLファイルというのは3Dプリンター出力用の単色データのことなのですが、これは一枚のメッシュで穴がなく、重なる箇所が無いようにしなくてはなりません。自分も初めて扱う形式でした。

PC上で扱う3Dデータは、例えば服の内側が体と重なって貫通していても問題はありません。しかし、STLでは服も体も全身丸ごと穴なく、重なることのない全部繋がっている一枚のメッシュにしなくてはなりません。

Shade 3Dには3Dプリンターのデータを作成しやすい機能が色々付いてます。その一つにラッピングメッシュというものがあります。この方法は形状を上から一枚の布で包み込むように一体化する方法でお手軽である反面、形状が細かいと意図しない劣化をしてしまう短所も出てきてしまいます。

大雑把な形状であれば良いのですけど、人型フィギュアなど繊細な表現を求められるものだと、やはりこれでは納得出来ないんですね。でもブーリアンは思う通りにはいかない。困りました。

何とか元の形状を極力崩さ無いようにいろいろ試行錯誤して最終的にはブーリアンと手縫いで一体化することに成功しました。しかし、3Dデータ的に4日ぐらいでしたが、そこからこのSTLを完成させるためだけにその5~6倍ぐらいの日数が掛かったのではないかと思います。(汗)

何万もあるポリ頂点を一つ一つ相手にしていたら一日という時間はあまりにも短いものでした。結構、いろんな細かいパーツを持つ様な形状をSTL化するというのは想像以上に過酷な作業でしたね。ちょうどゴールデンウィークと重なり助かりました。




このフィギュアの3Dプリンターの出力が完了した時にShade3D社の担当の方が写真を撮って送ってくれました。初めて見た時に想像以上のクォリティーで驚きましたね。大体全長20cmぐらいの大きさだそうですが着物の5枚の花びらも確認できます。地面の浅い凹凸も表現されてます。

3Dプリンターってここまで3Dデータを忠実に再現出来てしまうのですね。一体どうなってるのでしょか。凄いですね。

3Dプリント業者さんの方から提灯の枝と茎が細くて折れる可能性があるので2倍ぐらいの太さにして欲しいとのことで画像的には太すぎるかもと思うぐらいに修正したのですが、こうして立体化したのを見るとちょうどいい感じですね。

残念ながら、私はこのフィギュアの実物を見ることはないのですが、満足のいく完成度に仕上げることが出来たと思えます。今回のゴールデンウィークのShadeブートキャンプでだいぶ鍛えられ(^^;)、新たに開眼したものもあり、大変いい経験になりました。もし、次があったらSTLももっと効率よく作れると思います。


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テクスチャーとモーフ付け
Shade 3D



オリキャラ「藍田弥生」に顔と髪のテクスチャーを付けてみました。
表情モーフも付けてみました。レンダリングはMMDです。





このキャラは始めからMMD用で作り始めたので瞳は平面に近く、白目は無いタイプです。前からMMDで見られる特徴的なモーフをやってみたかったので試してみました。





「カメラ目線」は瞳を奥に移動させるとまるでカメラ目線のように見えるやつです。初めて「コッチミンナ」と言うモーフを見た時、よく思いつくなと関心しましたね。

Shadeでも「頂点モーフプラグイン」のおかげでモーフの動きを確認しながらモーフターゲットを作ることが出来るようになりました。また、そのモーフターゲットはMMD用としても使うことができます。

上のモーフはShade上で作って並べて「MMD Exporter」で渡しています。正直言ってPMXEでモーフを作るのは大変なので助かります。随分とShadeはMMDとの相性が良くなりましたね。プラグインを作ってくれている方々に感謝ですね。

このモデルでは髪が透けて眉毛が見える方法とか髪の光沢にスフィアマップも使ってみました。UVの扱いは苦手でしたが、今ではUV展開しやすいようにメッシュを組む段階で考えたり出来るようになりました。いや、ポリゴン化する前の自由曲面の段階でですね。

例えば、髪の天使の輪的なものは水平に描かれていますが、実際には髪のUVマップは大きさも形もバラバラなキャンバスのようなものです。そこに絵を描いて繋がっているように見せないといけません。当然複雑なメッシュより、よりシンプルな方が描きやすくなります。

自分がオリジナルフィギュアを作って何かやってみたいと本腰入れて3DCGを勉強し直そうと思い始めたのが今からちょうど2年前ぐらいでした。実はサブディビジョンサーフェスという単語もそれまで知らないぐらいでした。はじめは、全くうまくできませんでしたが自分なりに色々試行錯誤すればだんだん分かるようになってくるのですね。

しかし、人型モデル作りが大変なことには変わりありません。やらねばならないことはまだまだ山積みです。残りのテクスチャーも描かなくては。

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